温度は場所と時刻の関数。
T = F(X, t) …(1)
但し、T:温度、X:場所、t:時刻。Fは一般的な関数関係を示す。
温度計出力は、温度計とその場所、測定時刻、及び“温度”の関数。この時、“温度”とは温度計がなかった場合のどこかの場所のいつかの温度を指すが、それが「温度計の場所」や「測定時刻」であるかどうかは厳密には不明。
TM = G(T', XM, tM; M) …(2)
但し、TM:温度計出力、T':“温度”、M:温度計、XM:温度計の場所、tM:測定時刻。Gは一般的な関数関係を表わし、この場合は特に主として温度計の応答特性を示す。
重要な考察
「時刻」について
人間はかなり大きな発熱体であり、温度読み取りへ不確かさをもたらす主要な要因であると思われる。事実、温度計を読み取っていると、近づいてから手早くしないとじわじわ値が上昇する経験に何度も出くわしている。従って、そういう意味では「時刻」に対してはかなり小刻みに依存していて厳密に言うと変数分離をしてはいけないように思われる。しかしながら、
- 本来緩やかに変化する現象を測定していること(事実、一定温度管理されている室内の気温測定)。
- 複数の場所の測定値間の相関を知る目的であり、共通時刻で比較されること。
- 短時間揺らぎは読み取りの不確かさとして繰り込んでしまうと考える。
- そもそも、個々の測定に細かな時刻ラベルをつけることは実際作業上困難、あるいは煩雑。
であることから、全ての関数形から時刻は変数分離する前提とする。
厳密には正しくないが、このことは上式で、
tM = t
と扱うことを意味する。
「場所」について
調べたい相関は、謂わば『「場所」の違いにつれて温度の様子がどう異なるか』ということであり、場所が違わないとみなせる範囲で定義できる“近傍”度の決定・検証は重要なテーマであると思われる。しかしながら、そもそも場所によらず一定温度(あるいは一定の温度勾配)となるべき室内の事象であることもあり、温度計の基準位置と温度計出力が示すべき温度の値を持つ場所(“温度”の場所)とは十分近傍であると考えられるため、これらは一致すると仮定する。
すなわち、
T' = T
XM = X
として扱う。
得られたモデル
以上、「時刻」と「場所」の考察による仮定により、式(2)は
TM = G(F(X, t); M) …(3)
のように書き直せる。これは、温度既知の条件から応答関数の抽出可能性を示しており、逆に、これを書換えた
F(X, t) = G−1(TM; M) …(3’)
からは、応答関数既知の温度計を用いて温度分布取得の可能性があることが分かる。