モンティ・ホール問題

最近読んだ新作、

中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。(5) (マガジンエッジKC) コミック – 2022/2/17 志水 アキ  (著)

で、このくだりが出てきたときは、ありがちなエピソードと思ってあまり気にはしなかったが、

youtu.be

に割と丁寧に解説されているのを見ると、ネタかぶりってあるものだなと妙な感心をしてしまった。

 

 で、この問題って、本質は、選びなおす工程ではなくって、選びなおす前に、“ハズレ”たものをオープンしてしまう工程にあるのだと思う。ここに神の視点が入っていて、自然な事象ではなくなってしまっている。

 

 再選択前に、確実に“ハズレ”のものをオープンすることは、あり得ない。そのことが、後者の動画のサイズN=100の説明を聞いてる時に気づいた(ちなみに前者の物語での“アタリ”は凶)。

 

 部分的なオープンが自然な事象ではないと思う理由は、この問題が確率の問題だと言い張るのならば、量子力学的な観点では、部分的な波束の収縮にそれはあたるためだ。中にアタリが入っている箱には外から主催者だけが分かるサインが点灯していて、それに基づいてオープンの操作をする前提でないと問題自体が成り立たない。それはまさに手品のトリックだ。

 

 さて、この手の確率・順列・組み合わせの問題は、億劫がらずに全てのケースを書き出すのが理解の早道だと高校の時に経験しているので、以下やってみることにした。N=3のサイズで考えてみる。中味はA、B、Cで、Aが“アタリ”。事象通し番号、プレーヤーが最初に引いたもの、オープンするもの、交換可能なもの、交換した/しない判断結果(1列目と同じなら交換しない、3列目と同じなら交換した)、結果当たったら○/外れたら×、備考の順に書く。A~Cの3つのものを、プレーヤー、オープンするもの、最後まで開けないでプレーヤーの交換対象にするものの3通りに並べるのは、順列であり、3P3とあらわされ、6通りとなる。

keisan.casio.jp

で検算できる。従って、全事象の合計は、それぞれ選びなおすか、選びなおさないかの×2倍となり、全12通りとなる。

 

1、A、B、C、A、○、

2、A、B、C、C、×、

3、A、C、B、A、○、

4、A、C、B、B、×、

5、B、C、A、B、×、

6、B、C、A、A、○、

7、B、A、C、(B)、×、オープンした時点で“ハズレ”

8、B、A、C、(C)、×、オープンした時点で“ハズレ”

9、C、A、B、(C)、×、オープンした時点で“ハズレ”

10、C、A、B、(B)、×、オープンした時点で“ハズレ”

11、C、B、A、C、×、

12、C、B、A、A、○、

 

1)題意より、事象7~10は除外。【途中から】

2)選択を迫られている時点で、プレーヤーが“アタリ”A持っている事象は、1~4の4通りであり、この場合の確率の分母は全事象の 12 なので、確率は 1/3 。従って、その時“ハズレ”を持っている確率は 2/3 。

3)選択を迫られている時点で、主催者は、事象7~10を除外してくれる。このことを、どう考えるかだが、7⇒5、8⇒6、9⇒11、10⇒12 に縮退したと考えるのが良いようだ。従って、5、6、11、12 の事象は、事象数としては×2の重みが発生する。

4)選びなおす/選びなおさない場合の、場合の数のまとめ’(結果)

選び直す場合:事象2(×)、4(×)、6×2(○)、12×2(○);“アタリ”の確率4/6

選び直さない場合:事象1(○)、3(○)、5×2(×)、11×2(×);“アタリ”の確率2/6

 

なんとかキレイに正解にたどり着いたような‥

 

この問題のポイントは(wikiにも解説されているが)、初回の選択で“アタリ”を引く確率は、1/N のであるのが、2回目の選択では、自分の持っているモノも含めて、1/(N-1)である点。

煎じ詰めれば、再選択しなければ1/N、再選択すれば、初回は“ハズレ”でなければならないという条件と2回目の選択で自分のモノは選べないから(1ー1/N)×1/(N-2)=(N-1)/(N(N-2))、どちらが大きいでしょうか、という問題だった。N=3